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今週の一本勝負
2005年1月〜6月


THX1138
   THX1138
2005年6月27日  
監督:ジョージ・ルーカス
主演:ロバート・デュバル
    マギー・マコーミー
人間はすべて番号で呼ばれ、感情までもが薬によって管理された未来社会を舞台としたSF。THX1138(ロバート・デュバル)は、ルームメイトのLUH3417(マギー・マコーミー)によって薬をすりかえられ感情を取り戻していく。そして、違法である恋に落ちていく。捕らえられたTHX1138は……。
“スター・ウォーズ日本語版”(ルーク:奥田英二、ハン・ソロ:森本レオ)と“電子的迷宮”という邦題で併映された、ジョージ・ルーカスが学生時代に撮った短編“THX1138:4EB”のリメイク。難解と言われるかもしれないが、映像的に非常に凝っていて意欲的な作品。娯楽性に乏しく、商業的には成功でなかったらしいが、メッセージ性は強く、才能のある監督が若いときにやりたいことをやったという感じ。製作総指揮のフランシス・フォード・コッポラが配給のワーナー・ブラザーズから守ってくれたおかげで完成したという話もうなずける。各カットの構図、光・色の使い方がよく、画面に独特な雰囲気を醸しだしている。
THX1138が働いているロボット工場で作られているロボットは“スター・ウォーズ”のC-3POにそっくり!


ドット・ジ・アイ
   dot the i
2005年6月20日  
監督:マシュー・パークヒル
主演:ガエル・ガルシア・ベルナル
    ナタリア・ヴェルベケ
カルメン(ナタリア・ヴェルベケ)はバーナビー(ジェームス・ダーシー)との結婚を決意したが、偶然出会ったキット(ガエル・ガルシア・ベルナル)の誘惑に悩み始める。3人の関係をスリリングなタッチで描いた作品。
前半の展開に比べて後半のどんでん返しが少し弱いが、結構面白かった。最後まで見ないとわからないが、ビデオカメラがうまく使われている。カルメンが誰かにつけられていることを暗示させるために、視点を多くするという効果があると共に、登場人物が撮影したものを見ることでその人物の心情を明らかにすることもできる。そして、ラストでは、カメラに写っていなかったことが真実だったということになる。多分、脚本がよくできているのだろう。結果的に大金持ちになって成功して好きな相手と一緒になれるのは誰? と考えると、人間の恐ろしさがうまく描かれた作品といえる。また、映像も凝っていてよい。誰かと思ったら、撮影はペドロ・アルモドバル“オール・アバウト・マイ・マザー”などを撮っているアフォンソ・ビートだった。監督はこの作品が長編第1作、次回作が楽しみである。


恋愛適齢期
   Something's Gotta Give
2005年6月13日  
監督:ナンシー・メイヤーズ
主演:ジャック・ニコルソン
    ダイアン・キートン
自分の娘ほどの年のマリン(アマンダ・ピート)と付き合っているハリー(ジャック・ニコルソン)は、心臓発作を起こしたことがきっかけで、マリンの母親エリカ(ダイアン・キートン)と親しくなっていく。二人の愛の結末は?
洒落たセリフの多いラブ・コメディー。ストーリーはありがちなものだが、ジャック・ニコルソンとダイアン・キートンの演技に引き込まれ、ラストまで退屈しないで見られた。50代の女性を演じているダイアン・キートンがとっても魅力的だし、ジャック・ニコルソンは完璧。エンディングに流れる、ジャック・ニコルソンの歌う「バラ色の人生(La Vie en Rose)」(DVDでは未公開シーンとして映像も見られる)もしぶい。狂気を内に秘めた役柄を非常にうまく演じるジャック・ニコルソンだが、コメディ・タッチのものもいい。


マッド・シティ
   Mad City
2005年6月6日  
監督:コスタ・ガブラス
主演:ダスティン・ホフマン
    ジョン・トラヴォルタ
博物館をクビになった警備員のサム(ジョン・トラヴォルタ)は館長と話をしようとしたが、脅しのために持っていた銃で同僚の警備員を撃ってしまい、博物館に立てこもることになってしまう。偶然居合わせたTVレポーターのマックス(ダスティン・ホフマン)はサムをマスコミの力で助けようと試みるが……。
社会派のコスタ・ガブラスだけあって、さまざまな問題提起を織り込みながら、サスペンスを盛り上げていく。監督自身が「作品の主軸は二人の男の交流」と言っているように、人間ドラマとしてもとてもよくできている。人間の描き方が非常にうまい。中心となるダスティン・ホフマンとジョン・トラヴォルタの演技力もさることながら、脇を固める俳優陣がしっかりしているし、演出も面白い。しかし、この作品の中心にあるのは報道倫理についてのメッセージであろう。マスコミの報道しだいで、犯人のサムはよい人間にも悪い人間にもなってしまう。また、ラストカットの報道陣に取り囲まれるマックスを俯瞰で撮ったシーンは、蜘蛛の巣にかかった餌食を見ているようで、背筋が寒くなる。


情婦
   Witness for the Prosecution
2005年5月30日  
監督:ビリー・ワイルダー
主演:マレーネ・ディートリッヒ
    タイロン・パワー
心臓病により長期間入院していたウィルフリッド卿(チャールズ・ロートン)は、看護婦のミス・プリムソル(エルサ・ランチェスター)が止めるのも聞かずに、殺人事件の容疑者レナード・ボール(タイロン・パワー)の弁護人となる。果たして裁判の行方は? というストーリー。
アガサ・クリスティの原作(「検察側の証人」)のすばらしさもあるが、法廷内のシーンが多くて閉塞感が生じがちなこの手の作品を飽きさせずに見せるのは、さすがビリー・ワイルダー。ユーモアもふんだんにちりばめられていて、何回見ても鑑賞に堪える作品。細かい部分もしっかり作られている。ネタバレになってしまうかもしれないが、ラスト直前、クリスチーネ(マレーネ・ディートリッヒ)がテーブルの上のナイフを手にするのは、ウィルフリッド卿がくるくる回していた片眼鏡に反射した光がナイフの上で輝いていたからである。ウィルフリッド卿が容疑者のレナードを信じたのは、この片眼鏡で反射させた日光を容疑者の目に当ててしゃべらせるテストをレナードがクリアしたからだった。このことから考えると、ウィルフリッド卿が恐ろしい存在に思えてくる(ナイフに光が当たっていたのは「正義のハカリ」のさせたことと考えるのが素直な見方なのだろうが)。
初めて見たときは、マレーネ・ディートリッヒの演技にびっくりしたが、二度三度と見ていくうちに違うおもしろさを次々に発見できる。こういう作品は最近少なくなった。


ゴシカ
   Gothika
2005年5月23日  
監督:マシュー・カソヴィッツ
主演:ハル・ベリー
    ペネロペ・クルス
分析医のミランダ(ハル・ベリー)は夫殺しの犯人として逮捕されてしまうが、事件前、一人の少女を車で轢きそうになったところからの記憶が彼女にはない。事件の真相は一体?
オープニング、ペネロペ・クルスのアップから始まるが、この顔がかわいくない。妖しげなのはわかるんだけど、女子刑務所の精神病棟に入れられている役だからといっても、かなり重要な役どころなんだから、もっと美しく撮っていいんじゃないかな。監督は脅かすのが大好きみたいで、いろんなところでドキッとさせてくれるが、意味のない脅かしも結構あって作り手としてはあんまりうまくない。突然、何かが出てきてビックリさせるパターンは多用しちゃだめだよね。それから、悪役はもっとかっこよくなくちゃなぁ。
エンディングにBehind Blue Eyesが流れるがThe Whoのオリジナルの方が絶対いい!


ひとごろし
   
2005年5月15日  
監督:大洲 齋
主演:松田 優作
    丹波 哲郎
とっても臆病な侍の双子六兵衛(松田優作)が妹(五十嵐淳子)のため、自分のために、殿様の家臣(岸田森)を斬った仁藤昂軒(丹波哲郎)を討つ役に名乗り出る。まともに勝負しても勝てない相手に対して奇策を考え出した六兵衛は、旅の途中で知り合った宿の女将(高橋洋子)の協力も得て計画を進めていくが……。
松田優作はユーモラスな役を見事に演じる。頼りなさそうな表情もうまい。が、ラストではやっぱりシブーイ顔を見せてくれる。それまでの情けない役どころから、突然こんなにかっこよいセリフを言っちゃってよいのだろうかとも思えてしまうが、松田優作だからよいのである。映画としては、脚本・演出など、少し物足りない気もするが、松田優作の魅力で十分満足できてしまう。


ツイステッド
   Twisted
2005年5月9日  
監督:フィリップ・カウフマン
主演:アシュレイ・ジャド
    サミュエル・L・ジャクソン
殺人課の捜査官となったジェシカ・シェパード(アシュレイ・ジャド)が担当することとなった連続殺人事件の被害者は、ジェシカと一夜を共にした男性ばかりで、ジェシカには事件の晩の記憶がない。果たして犯人は? というストーリー。
オープニングで、ジェシカが逮捕した犯人の顔面を思いっきり蹴る場面がある。実は直情型であるという性格を明らかにするためなのだが、この場面のために、ジェシカに感情移入できなくなってしまった。気が荒くて怖い女にしか見えなくなっちゃう。さらに飲み屋で男を引っかけちゃうからいよいよ危ない女に見える。こういう女だから人も殺しかねないという、一種の伏線なのだろうが、もうちょっと普通の女性に描いたほうが、見ている者を惹きつけられるのではないかなぁ。伏線といえば、犯人が遺体にタバコの痕をつけることから、観客が犯人を探せないように、主要登場人物はみんな喫煙者。その中には医者までいる。いくら精神科でも、ちょっとどうかねぇ。他にもこだわってやってることの度が過ぎてるところがいくつかあった。作りすぎてしまったように思う。


ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ
   Wag the Dog
2005年5月2日  
監督:バリー・レビンソン
主演:ダスティン・ホフマン
    ロバート・デ・ニーロ
大統領選を間近にしてスキャンダルを起こしてしまった大統領を当選させるために、揉み消し屋(ロバート・デ・ニーロ)が戦争をでっち上げるというストーリー。“カプリコン1”を彷彿させるが、ユーモラスに描かれていて、サスペンス性には欠けている。
ハリウッドの名プロデューサーを演じるダスティン・ホフマンとロバート・デ・ニーロの存在感がすごすぎて、細かいところが気にならなくなってしまう。名監督が撮らなくても、それなりの脚本であれば、この二人の役者で一定レベルの映画を作れてしまうと思う。唯一この二人に負けていなかったのが、ウィリー・ネルソン。カントリー・ソングの大御所だが、ミュージシャンの役をとっても楽しそうに演じていた。ちなみに音楽は“マネー・フォー・ナッシング”が大ヒットしたダイアー・ストレイツのマーク・ノップラー。


ザ・ビーチ
   The Beach
2005年4月25日  
監督:ダニー・ボイル
主演:レオナルド・ディカプリオ
    ビルジニー・ルドワイヤン
タイを一人旅していたリチャード(レオナルド・ディカプリオ)が、ホテルで自殺した男から聞いた幻のビーチを探し求め、そこで“地獄の黙示録”のウィラード大尉になってしまう? というストーリー。
ご丁寧に、劇中映画として“地獄の黙示録”を登場させ、リチャードが武装農民のすみかに進入する場面ではヘリコプターの回転翼の音に似たBGMまで流す。が、ちっとも面白くない。ストーリー展開も無茶苦茶である。監督の一人よがりも、ここまくるとあきれてしまう。登場人物の性格描写なんかほとんどなされていないのに(作り手はこんな風に見てほしいんだろうなぁという想像をすることはできるが、伝わってこない)、狂気へと向かっていくところを見せられてもなぁ。久しぶりに思いっきり腹の立った作品。


ダークマン
   Darkman
2005年4月18日  
監督:サム・ライミ
主演:リーアム・ニーソン
    フランシス・マクドーマンド
土地開発事業の不正に巻き込まれて重傷を負わされ、二目と見られない姿にされた科学者が、ダークマンとなって、復讐するというストーリー。
監督は“死霊のはらわた”でカメラを縦横無尽に走らせたサム・ライミ。“死霊のはらわた”では、見ている者が森の中を一緒に走っていくような感覚にさせた。この作品では、ヘリコプターにロープでぶら下がったダークマンが揺らされるシーンで、やはり観客が同じ感覚を味わえるようにしている。まだ「特撮」という言葉がふさわしかった時代の作品なので、背景の色などからリアルさに欠けてしまうところもあるが……。そして、この場面の発展版が“スパイダーマン”での、手から糸を出してビル街をターザンのように飛びまわるシーンだろう。あの浮遊感を“ダークマン”でも出したかったのに違いない。実は、ストーリーや作り方において“スパイダーマン”と共通するところがいくつもあるので、興味のある方は見比べてほしい。この作品の完成形が“スパイダーマン”でしょ?


ミザリー
   Misery
2005年4月11日  
監督:ロブ・ライナー
主演:ジェイムス・カーン
    キャシー・ベイツ
人気作家のポール(ジェイムス・カーン)が彼の大ファンであるアニー(キャシー・ベイツ)に監禁されてしまうというストーリーで、ロバート・オルドリッチの“何がジェーンに起ったか?”とアルフレッド・ヒッチコック“サイコ”を足して2で割ったような感じの作品。
アカデミー賞を受賞したキャシー・ベイツの演技はすばらしいし、サスペンスも盛りだくさん。とってもお約束的に小道具を使ったり、伏線を張ったりしているが、サスペンスはあまり複雑にならない方が楽しめるということを改めて実感させてくれて、つまらないとは思わなかった。単純な方がかえってドキドキするのに、最近、やたらとこねくり回して伝わりにくくなってるのが多いよなぁ。
とにかく、サイコ・サスペンスが好きな方にはたまらない作品。


テイキング・ライブス
   Taking Lives
2005年4月4日  
監督:D.J.カルーソー
主演:アンジェリーナ・ジョリー
    イーサン・ホーク
 
        
アルフレッド・ヒッチコックのような作品をつくろうとしても、エグさが出てしまうブライアン・デ・パルマが撮った“羊たちの沈黙”とでも言えばよいかしら。FBIのスコット捜査官(アンジェリーナ・ジョリー)が連続殺人犯を追っていくというストーリー。
脚本家がか監督がかはわからないが、ブライアン・デ・パルマの影響をかなり受けているはずである。最初にアンジェリーナ・ジョリーが登場するシーンは“ボディ・ダブル”を連想させるし、中盤の追跡シーン(花火も含めて)・殺人犯が首を絞めて殺すときに使う道具のアイディア・目撃者に隠しマイクをつけておとりにするシチュエーションは“ミッドナイトクロス”を、エレヴェーターでの殺人・さまざまな場面で登場するアンジェリーナ・ジョリーの目のアップは“殺しのドレス”を連想させる。ところどころにある観客を驚かす仕掛けもデ・パルマっぽいし、犯人が使っていた部屋を捜索するシーンではデ・パルマが大好きなシャワーシーンもどきまである。
ただ、役者はすばらしい。イーサン・ホークは年取ってかつての変なアクがなくなった。ジャン=ジャック・ベネックス監督“青い夢の女”のジャン=ユーグ・アングラードもいい味出してる。“グロリア”(シャロン・ストーン版ではないぞ)のジーナ・ローランズもいる。アンジェリーナ・ジョリーは相変わらずうまいし、何と言っても表情がいい。
ストーリー展開などにいろいろと文句はあるが、それなりに楽しめた作品だった。


ソラリス
   Solaris
2005年3月25日  
監督:スティーブン・ソダーバーグ
主演:ジョージ・クルーニー
    ナターシャ・マケルホーン
かのタルコフスキーの“惑星ソラリス”のリメイク。ソラリスという星の宇宙ステーションで起こった謎の事件のために、救助に向かったクリス(ジョージ・クルーニー)のもとに、いないはずの妻レイア(ナターシャ・マケルホーン)が現れる。
タルコフスキー版のときほどの衝撃はなかったが、よくできた作品。現在起こっている宇宙での出来事と、過去の地球上での出来事を、それぞれ寒色系と暖色系の画面にしているが、これによって、複雑に展開されるストーリーを視覚で理解することが可能になっている。無駄な説明を省略できる。“トラフィック”でも使っていた技だ。また、狭い宇宙ステーションの中での物語なので、どうしても閉塞感が生まれてしまうはずだが、ソラリスを美しく(そして、少し不気味に?)見せることで、ほとんど気にならないようにしているのもうまい。
ただ、ジョージ・クルーニーは精神科医のはずなのだが、あんまり賢そうに見えないんだよなぁ。


バレエ・カンパニー
   The Company
2005年3月20日  
監督:ロバート・アルトマン
主演:ネーブ・キャンベル
    マルコム・マクダウエル
バレエ団のプリマに抜擢されるライ(ネーブ・キャンベル)を中心に、バレエ団の舞台裏を描いた作品。
舞台裏では、ダンサーやスタッフの危なっかしい人間関係がさまざま繰り広げられるが、公演が始まるとその一切が吹っ飛んでしまったかのようなすばらしい演技が展開される。そのバレエ・シーンが素晴らしい! 群像劇の得意なロバート・アルトマンだからか、バレエ・シーンではクローズアップが少なく、集団の醸しだす美しさを強調していたように思う。バレエ・シーン以外の部分では登場人物の描き方が物足りないようにも感じられるが、1人ひとりの人間関係を深く追求するよりも、いろいろな感情が混ざりあう中であっても1つの舞台を完璧に作り上げるプロの世界を描きたかったのではないだろうか。
ネーブ・キャンベルに対しては“スクリーム”のイメージしかなかったので、バレエシーンもすべて演じていたのにはビックリ! 実は15歳までかなり本格的にバレエを習っていたそうだ。“時計じかけのオレンジ”であまりにも有名なマルコム・マクダウエルはバレエ団の独裁的なオーナーを見事に演じている。白髪のマルコム・マクダウエルもよいなぁ。


バージニア・ウルフなんかこわくない
   Who's Afraid of Virginia Woolf ?
2005年3月13日  
監督:マイク・ニコルズ
主演:エリザベス・テイラー
    リチャード・バートン
“卒業”のマイク・ニコルズの初監督作品。エリザベス・テイラーの初汚れ役作品。中年の大学助教授夫妻(エリザベス・テイラーとリチャード・バートン)と、その家庭を訪れた若い夫婦の物語。
もともと舞台劇だったものなのでセリフが多く、役者の演技が要求される作品だが、みんなうまい。とくにエリザベス・テイラーの凄さには脱帽! 下品な言葉を連発し、自分の夫を罵倒し、傍若無人に振舞う女性を怪演している。眉間の深い縦ジワが何ともステキ。“若草物語”とか“陽のあたる場所”のときの美しいエリザベス・テイラーを期待してはいけない。残酷な心理ゲームを楽しむ中年女性の醜さが見事なまでに描き出されている。
また、助教授夫妻の家を訪れた若い妻(サンデイ・デニス)の酔っ払いぶりも素晴らしい。


ハードエイト
   Hard Eight
2005年3月6日  
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
主演:フィリップ・ベイカー・ホール
    グウィネス・パルトロウ
“ブギーナイツ”“マグノリア”のポール・トーマス・アンダーソン監督の長編映画第一作。無一文で途方にくれていたジョン(ジョン・C・ライリー)と、彼の面倒を見てやる老人シドニー(フィリップ・ベイカー・ホール)のカジノを舞台にした物語。
この監督は人間を描くのがうまい。登場人物がみんなそれぞれいい味を出している。中でも主演のフィリップ・ベイカー・ホールはすばらしい。何か過去を持っているだろうと思われる、多くを語らない渋い老人の役を見事に演じている。とにかくカッコいい老人なのである。
ちなみに、タイトルの“ハードエイト”とは、サイコロを使ったギャンブルで4のゾロ目のこと。


ドッグヴィル
   Dogville
2005年2月27日  
監督:ラース・フォン・トリアー
主演:ニコール・キッドマン
    ポール・ベタニー
「ドッグヴィル」という、成人が15人しかいない小さな田舎町の人々と、ギャングから逃げてきたグレースという女性(ニコール・キッドマン)の物語。すべてスタジオの中のセットでの撮影。しかも、家々には壁も屋根もなく、観客からは町中のすべてがどこからでも見渡せる。この町の人々にはそれだけ深いつながりがあるということなのだろうか? そんな実験的なセットの中で繰り広げられる人間のエゴがテーマの重い作品。テーマは、この作品の監督の代表作である“ダンサー・イン・ザ・ダーク”と同じかもしれない。
個人的には、ラストが嫌い。見終わったときに残る観客の気持ちを考えてのラストなのだろうが、こんなに重いテーマを、こんな風に終わらせていいのかと思ってしまう。小生にとっては後味の悪い作品。


Mの物語
   Histoire de Marie et Julien
2005年2月20日  
監督:ジャック・リヴェット
主演:エマニュエル・ベアール
    イエジー・ラジヴィオヴィッチ
“美しき諍い女”もそうだったが、ジャック・リヴェットの作品はじわじわくる。派手な場面は少ないが、飽きさせない。理由のひとつとして、色の使い方、光の使い方がうまく、どのカットも美しいことがあるだろう。見終わってから150分の作品だったことを知り驚いた。
マリー(エマニュエル・ベアール)という女性に恋をした時計職人(副業?でゆすりもしている)のジュリアン(イエジー・ラジヴィオヴィッチ)が、マリーの秘密に少しずつ迫っていくというストーリー。エマニュエル・ベアールがすばらしかった。何かを内に秘めたマリーという役は彼女にぴったりだった。ジャック・リヴェットの作品は“美しき諍い女”以来12年ぶりのエマニュエル・ベアールだが、“美しき諍い女”よりもこの作品のほうがかわいらしく思えた。
エロティックさを前面に出して宣伝しているようだが、勘違いして見てほしくない、非常によくできた作品である。ラストもシャレてるし。


21グラム
   21g
2005年2月13日  
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・
    イニャリトゥ
主演:ショーン・ペン
    ナオミ・ワッツ
重い。「人が死ぬと21グラム軽くなる」っちゅー言葉から、死がテーマだとは思っていたが、そこに人間のドロドロした心情が混ざりこんで本当に重い。
ショーン・ペンはうまいと思うけど、共演のベニチオ・デル・トロ(“トラフィック”の刑事役もよかった)の存在感のすごさにはかなわない。ときどきハッとするような美しい映像があるんだけど、全体を通してはイマイチかな。それにしても、最近、時間の前後をバラバラにしている作品が多いのは、なぜなのでしょう? “メメント”では、時間を完全に逆にすることで謎解きの面白さを作り出すだけでなく、主人公の記憶障害の象徴という役割を持たせてもいた。しかし、この作品の場合、心臓移植の心臓を提供した男の妻と提供された男、さらに移植の原因を作った男という設定が面白いのだから、わざわざ時間のつぎはぎでストーリーを複雑にしなくても、しっかりした作品をつくれると思うのだが。


ブラウン・バニー
   The Brown Bunny
2005年2月6日  
監督:ヴィンセント・ギャロ
主演:ヴィンセント・ギャロ
    クロエ・セヴィニー
ヴィンセント・ギャロの世界以外の何ものでもない、とでも言えばよいのだろうか?
オートバイ・レーサーのバド・クレイ(ヴィンセント・ギャロ)は、ひたすら暗い。何ともいえず暗い。“バッファロー'66”でも主人公は悩んでいたが、バドの悩みはそれを上回っているようである。車での旅の様子が延々と描かれていて、カメラは車の助手席や後部座席から撮っている。したがって、外の景色も車内から見せているのだが、フロントガラスはいつも汚れている。あるいは雨で視界が悪い。バドに見える景色は、観客が汚れたフロントガラスを通して見るものと同じはずで、心象をそのまま表したものと言えるだろう。
映画は淡々と続いていく。バドの悩みはラストまでわからない。それでも、最後まで見せてしまう。とっても低予算の映画っぽいが(おそらくそうでしょう)なかなか味のある作品。


ウェルカム! ヘヴン
   Sin Noticias De Dios
2005年1月30日  
監督:アグスティン・ディアス・ヤネス
主演:ペネロペ・クルス
    ビクトリア・アブリル
天国と地獄がお互いの覇権をかけて争っている中で、1人のボクサーの魂をどちらがものにするかというストーリー。
地獄から派遣されたペネロペ・クルスもいいけど、天国から派遣されたビクトリア・アブリルがいい味出してます。ペドロ・アルモドバル“アタメ 私をしばって!”のときに比べるとちょっとふけた感じが……。でも、彼女が天国のホールで歌う場面はカメラワークも凝っていて一見の価値あり。


あなただけ今晩は
   Irma La Douce
2005年1月23日  
監督:ビリー・ワイルダー
主演:シャーリー・マクレーン
    ジャック・レモン
久しぶりに見ました。シャーリー・マクレーンとジャック・レモンのコンビは、アカデミー作品賞をとったこともあって“アパートの鍵貸します”があまりにも有名だけど、個人的にはこちらのほうが好み。
とってもまじめな新米警官が娼婦街に配属されて、ドジやってクビになって、娼婦のイルマ(シャーリー・マクレーン)のヒモになって、嫉妬して嫉妬して、耐えられなくなって、思いついたのが……。ビリー・ワイルダーにこの手の作品を撮らせたらホントにうまい。ヒロインはとびっきりかわいく、男はとっても純情。小道具の使い方も見事だし、セリフもしゃれてる。コメディはこうでなくっちゃ。
シャーリー・マクレーンといえば、“マグノリアの花たち”での素直じゃない婆さん役もすばらしかったなぁ。


映画への独り言